ガンジス川における世界初のガンジスカワイルカの音響観測の実施
および

チリカ湖におけるリアルタイム音響観測基地の建設とカワゴンドウの観測

2007年03月22日

鯨類観測工学チーム


 東京大学生産技術研究所海中工学研究センター、KDDI研究所、および(独)水産総合研究センター水産工学研究所を中心とする鯨類観測工学チーム(代表:東京大学教授浦  環)は、2007年2月WWFインディアと研究交流協定を締結し、ガンジス川に棲息するガンジスカワイルカの音響による観測をおこないました。野生のガンジスカワイルカが発生するクリック音の広帯域録音に世界で初めて成功しました。その成果がインドで高く評価され、今後も継続して観測プログラムを実施していくことになりました。
 また、インド工科大学デリー校、WWFインディア、チリカ湖管理局、オリッサ州森林局等と共同で、インドオリッサ州チリカ湖に棲息するカワゴンドウの長期モニタリングのためのリアルタイム音響観測基地を開発し、設置および観測を開始するとともに音響データロガーにより調査域の個体数推定をおこないました。
 これらの結果は、ガンジスカワイルカやカワゴンドウの生態を解明するばかりでなく、今後の保護の計画に役立つものと考えられます。

1.ガンジスカワイルカ観測の概要

 東京大学生産技術研究所海中工学研究センターの浦環(うらたまき)教授を中心とする鯨類観測工学チームは、鯨類がそれぞれに特徴のある鳴音を持つことに着目して、1998年から、自律型海中ロボット(AUV: Autonomous Underwater Vehicle)(注1)などロボットシステムを用いた鯨類の自動音響観測システムの研究開発を進めています(配布資料1参照)。これまで、沖縄の座間味島でのAUVによるザトウクジラの追跡調査、小笠原父島沖でのAUVとアレイシステムによるマッコウクジラの潜水行動の観測などをおこなってきましたが、研究の過程で、ヨウスコウカワイルカやガンジスカワイルカなど特定の河川域に棲息するカワイルカ類が絶滅の危機に瀕していることを知りました。そこで、かれらの水中行動を解明し、探索・保護活動をおこない、生態系の保護に貢献するために、これまでの研究成果をもとに、カワイルカ類が属する小型歯クジラ類を対象とした音響観測装置を研究開発し、これを用いた調査活動をおこなうプロジェクトを2002年から開始しました。

 インドのガンジス川流域に棲息するガンジスカワイルカ(Platanista gangetica)は、近年の人間活動により棲息環境が悪化し、頭数が激減しており、絶滅が危惧されています。このため、インド政府の強力な保護下にあり、容易に観測することはできません。 鯨類観測工学チームでは、ザトウクジラの観測を開始して以来、海中音響工学の専門家であるインド工科大学デリー校のRajendar Bahl教授と共同研究をおこなっています。インドにおいてガンジスカワイルカ保護活動を担っているWWFインディアが、Bahl教授を通じてわれわれの研究成果を知り、最先端の音響観測技術の導入の必要性を認めたことから、インドで本格的な調査をおこなうことになりました。

 ガンジスカワイルカの最初の調査は2006年4月、ベンガル湾に面したインド、オリッサ州のガンジス川とは異なる水系であるブタバランガ川の上流で発見され、下流のパンチャプトゥリ淵(図1)へと保護された一頭のガンジスカワイルカ(図2)を対象に、インド工科大学デリー校(IIT, Delhi: Indian Institute of Technology)、WWFインディア(WWF-India)、チリカ湖管理局(CDA: Chilika Development Authority)、オリッサ州森林局(Office of the principal CCF(Wildlife) & Chief Wildlife Warden)と合同でおこなわれました。観測には、東京大学生産技術研究所が開発したカワイルカ類が発する高周波数のクリック音を録音できる小型歯クジラ類用自動音響観測装置(注2)を用いて、ガンジスカワイルカがエコロケーションのために発する高周波のクリック音を世界で初めて録音することに成功しました。現在、その音響特性を解明していますが、ガンジスカワイルカのクリック音は極めて狭い指向性を持っていることがわかってきています。
また、(独)水産総合研究センター水産工学研究所が開発した小型の簡易式ステレオ式音響データロガー(注3)によるハイドロホンアレイシステムによりガンジスカワイルカの水中行動を観測しました。今後さらに研究を進めることで、ガンジスカワイルカの特異な音響特性および水中行動に適した観測手法を開発し、将来の探索・保護活動に役立てたいと考えています。

図1: ガンジスカワイルカの発見されたブタバランガ川の地図

図2:ブタバランガ川で発見されたガンジスカワイルカ(Dr.Sandeep Behera/WWF-インディア提供)
 ブタバランガ川でのガンジスカワイルカの調査の成果が評価され、2007年2月に東京大学生産技術研究所とWWFインディアとの間で研究交流協定が締結されました。そして、ガンジスカワイルカが棲息するガンジス川の環境を理解し、環境に適した観測機器を開発するための予備調査として、デリー近郊のナローラの町を流れるガンジス川に棲息する数頭のガンジスカワイルカ(図3)のグループの音響観測をおこないました(図4、図5)。ここでは、ガンジスカワイルカのクリック音の特性の詳細に調査するために新たに開発した2MHzという高い周波数帯までサンプリングすることができるハイドロフォンによる録音および複数個の簡易型音響データロガーを用いたガンジスカワイルカの分布の調査をおこないました(図6)。
 乾期である1月から2月が観測にはベストシーズンとはされるものの、突然の天候の変化により、急激に姿を変える河川環境に対応できるコンパクトでロバストでありながら精度の高い観測機器の開発の必要性が痛感されます。今後は、WWFインディアとのより緊密な情報交換により、ガンジス川での有効な探索のための機器開発を進めていくことでインドの希少野生動物の保護活動に貢献していくことが期待されます。

図3:ナローラのガンジス川に棲息するガンジスカワイルカ

図4:ナローラ近郊の地図

図5:ナローラのガンジスカワイルカの観測基地

図6:ナローラでのガンジスカワイルカの観測



2.ガンジスカワイルカ観測の成果 - 2006年4月および2007年2月 -

 2006年4月のブタバランガ川での小型歯クジラ類用自動音響観測装置による録音データの解析結果から、ガンジスカワイルカの発する高周波数のクリック音の特性が分かってきました。

 図7はガンジスカワイルカの5分間のサンプルデータです。同じ歯クジラ類のカワゴンドウなどと比較して、データに含まれるクリックトレインが少ないことが分かります。これは、他の歯クジラ類と比べて指向性が狭いため、イルカがハイドロフォンアレイと別の方向を向いている時には、クリック音が拾えていないためと思われます。指向性については詳細な検討をおこなっている最中です。

 図8は、典型的なガンジスカワイルカのクリック音です。一つのパルス音は約40μsecで、平均周波数帯は65kHz程度です。

 小型歯クジラ類用自動音響観測装置では、セミリアルタイムで水中でのイルカの3次元的移動を求めることができます。装置を設置した2日間の日中の観測時間帯には、ガンジスカワイルカは装置の周りを泳ぎ回り、装置をターゲットとして2m程度にまで接近を試みているケースが多く見られます。また、図9はガンジスイルカの深度変化を表していて、見えない水中でイルカが上昇・下降している様子がうかがえます。

 次に簡易型音響データロガーによる観測では、データロガーを3つ水中に固定し、ガンジスカワイルカの発するソナー音を記録するとともに、目視で浮上場所と呼吸間隔を記録しました。3カ所の異なった位置から音源方位計測を行うことで、水中の位置を計測し、3次元の軌跡として再構築しました。その結果、ガンジスカワイルカのソナー音を、連続約30時間にわたって記録しまた。計測された3次元の軌跡と、目視で観察された浮上場所はよく一致しました。計測された潜水行動の軌跡から、活動範囲は日中よりも夜間のほうが広いことがわかりました。パルス間隔から予想される探索距離は夜間(平均43.9m)が昼間(平均30.7m)より大きいと確認されました。遊泳範囲に応じた探索距離を採用していると考えられます。

図7:ガンジスカワイルカのサンプルクリック(5分間)

図8:ガンジスカワイルカの典型的なクリック音

図9:ガンジスカワイルカの深度変化
 2007年2月のガンジス川での調査では、2MHzという高い周波数帯までサンプリングすることができるハイドロフォンによる録音および複数個の簡易型音響データロガーを用いたガンジスカワイルカの分布調査をおこないました。
図10は、クリックトレインですが、ブタバランガ川のものと違って、複数頭のイルカからのクリックが録音されています。
図11は、クリック1つの波形で、図12はそのスペクトラムです。クリックの広帯域な性質がよく見て取れます。
 複数個の簡易型音響データロガーを用いた観測(図6 右図)では、装置がコンパクトで持ち運びや展開が容易であるため、イルカの回遊を理解するのに最適です。
図13では、2月6日の午後15時45分過ぎに川の上流から下流方向に向かって泳いでいくガンジスカワイルカの軌跡を見ることができます。

図10:102MHzサンプリング装置により取得した複数頭のガンジスカワイルカのクリックトレイン

図11:2MHzサンプリング装置により取得したクリック音

図12:2MHzサンプリング装置により取得したクリック音のスペクトラム

図13:上流から下流に泳いでいくガンジスカワイルカの軌跡


3.カワゴンドウの観測の概要

 ガンジスカワイルカの観測と並行して、インド工科大学デリー校、WWFインディア、チリカ湖管理局、オリッサ州森林局らと共同で、カワゴンドウ(Orcaella brevirostris)の観測をおこなっています。カワゴンドウは、カワイルカと同様に小型歯クジラ類に属しており、インドから太平洋にかけての沿岸域や河川域に分布しているので、人間活動の影響を直接的に受けやすく、2005年1月1日付けでワシントン条約の付属書I(注4)に指定されています。インドでは、オリッサ州のベンガル湾に面した汽水湖チリカ湖の濁った浅海域に100頭程度が棲息しているとされます。2006年1月に小型歯クジラ類用自動音響観測装置を用いて湖の数カ所で観測をおこない(図14、図15)、セミリアルタイムで装置の周辺の水中を移動する複数頭のカワゴンドウの軌跡を取得することに成功しました。続いて2006年4月には、最先端技術を導入してチリカ湖のカワゴンドウの観測を続けることで湖の生態系の維持に貢献することを目指して、東京大学生産技術研究所とチリカ湖管理局とは研究交流協定を締結しました。

図14:チリカ湖の2006年1月の観測スポット(黄色マーク)

図15:装置を水平方向で展開する(2006年1月)
 カワゴンドウの音響特性の解明を進めるともに、カワゴンドウの水中行動を解明し、今後の保護に役立てるため、深度が3〜6m程度しかないチリカ湖の環境に適したリアルタイム音響観測システムの開発をおこないました。システムは5つのハイドロフォンからなる十字型アレイ(図16)を配置した水上基地(図17)と陸上基地(図18)から構成されています。陸上基地では、無線LANシステムにより、水上基地に設置されたアレイからの情報をリアルタイムで取得して、アレイに接近するイルカの軌跡をコンピュータ画面上に表示することができます。2007年1月、チリカ湖畔サタパダ村(Satpada)から3km沖合のムガルムック(Muggermukh)水路に水上基地を建設して(図19)、観測を開始しました。
 本モニタリングシステムを使うことで、観測者は、湖に出かけることなく、陸上にいながら湖面下のカワゴンドウの行動を観察することが可能であり、将来的にはネットワーク機能の強化により、世界中どこからでもアクセスすることができるようにしたいと考えます。
 しかし、チリカ湖においても、季節毎の気候の変動が激しく、湖の環境は季節によって大きく変化します。乾期の1月、2月には湖は穏やかであり、湖面が鏡面のように照り映える日々も多いのですが、4月〜8月にかけてのモンスーン時期には風と波が強く、年間を通じての観測をおこなうには、本格的な水上基地の建設と、現場環境に適応した音響観測システムの開発が必須と思われます。
 チリカ湖全体のカワゴンドウの頭数確認、およびその分布や移動(ベンガル湾から出入りしているかどうかなど)を知ることが、将来的なカワゴンドウの生態系維持にとっては不可欠です。このため、チリカ湖管理局では、湖全体のカワゴンドウの目視による頭数確認を年に1回、2日間かけておこなっています。これは、湖の中心部と Outer Channelと呼ばれるベンガル湾とつながる湖口へ通じる水路部の2チームに分かれて、重複してカウントすることのないように船ごとのコースを決めて、湖面上に浮上しているカワゴンドウの頭数を確認するというものです。

図16:チリカ湖のカワゴンドウ観測用に新しく開発した十字型アレイ

図17:チリカ湖のMuggermukhに設置した水上基地

図18:チリカ湖畔Satpadaの陸上基地屋上に設置した無線LANアンテナ

図19:Muggarmukhでの水上基地の設置作業
 鯨類観測工学チームでは、簡易型音響データロガー(注3)を船から曳航するともに目視により湖上にいるカワゴンドウの頭数を確認するという、目視と音響によるカワゴンドウの精度の高い個体数推定も並行しておこなっています(図20、図21)。これをさらに進めるとともに、湖の中心部と Outer Channelの間、あるいはベンガル湾とつながる湖口に観測装置を設置して、カワゴンドウの移動状況を調べることにより、分布や移動についての知見を得ることができると期待されます。

図20:チリカ湖での簡易型音響データロガーにより取得したカワゴンドウの軌跡

図21:簡易型音響データロガー曳航方式による音響と目視調査の精度比較


4.チリカ湖におけるリアルタイム音響観測基地の建設

 2005年に開発した小型歯クジラ類用自動音響観測装置の設計をもとに、3m〜6m程度の深度しかないチリカ湖の環境に特化した浅海域リアルタイム音響観測システムを開発しました(図22参照)。システムは5つのハイドロフォンからなる十字型アレイ(図16)を配置した水上基地(図17)と陸上基地(図18)から構成されています。横方向の音源位置は、十字型にハイドロフォンを組むことで、SBL システムによる全方位からの位置測定が可能です。各ハイドロフォン間のベースラインを1.6mと長く取っているため、距離100mにおいて隣り合う全長1.5mの個体を識別できる高い位置精度を持ち、複数頭で行動することの多いカワゴンドウの頭数確認が容易におこなえます。鉛直方向の音源位置は、チリカ湖の深度が平均3mと浅いため海面反射を用いて求めます。
 陸上基地では、無線LANシステムにより、水上基地の水面下1mに設置されたアレイからの情報をリアルタイムで取得して、アレイに接近するイルカの軌跡をコンピュータ画面上にGUI(Graphic Interface Information)表示することができます。
水上基地にWeb.カメラを取り付けて、水上基地近傍の湖面を泳ぐイルカの動きを撮影する方法も導入しました。将来は、水上基地にWeb.カメラを複数台取り付けて、水中のみならず湖面上での全方向からのカワゴンドウの観測をおこないたいと考えています。
 概要で述べたように、本モニタリングシステムを使うことで、観測者は、陸上にいながら湖のカワゴンドウの行動を観察することが可能です。将来的にはネットワーク機能の強化により、世界中どこからでもアクセスすることができ、チリカ湖の水中下および水面上で起こっている現象を世界中の人がリアルタイムで知ることができるようにしていきたいと考えます。

図22:チリカ湖に建設した浅海域リアルタイム音響観測システムの図面


5.カワゴンドウの音響観測の成果 - 2007年1月、2月 -

 2007年1月、チリカ湖畔サタパダ村(Satpada)にあるCDAの事務所に陸上基地を設置して(図23)、そこから3km沖合のムガルムック(Muggermukh)水路に水上基地の建設を開始(図17、図18)、1月29日には装置の取り付けを完了、観測を開始しました。1月31日の午前11時25分頃、陸上基地でCDAの方々に装置の説明をおこなっている最中に、コンピュータの画面上のGUI表示に一頭のカワゴンドウがアレイのNWの方向からSWの方向に向かって泳いでいく軌跡を発見しました(図24)。その後、2月3日まで約1週間展開して、いったん水上基地の装置を引き上げて、次に2月18日〜22日までサタパダにより近いマヒサ(Mahisa)へと水上基地を移動して、モニタリングをおこないました。
 1月にMuggermukhに設置した時の約一週間のデータの解析では、アレイ近傍ではカワゴンドウはおおよそ同じ経路を通って、チリカ湖の中心部へと向かうNW方面からOuter Channelへと向かうSW方向とを行き来しているようです。ただし、チリカ湖の中心部からOuter Channelまで行き来しているかどうかは分かりません。取得したデータ解析を進めるとともに、今後さらに観測を続け、複数箇所へ観測機器を展開することで、チリカ湖の水面下を行き来するカワゴンドウの航路が明らかになっていくことが期待されます。

図23: Satpadaの陸上基地およびMuggarmukhの水上基地の地図

図24:陸上基地のコンピュータでのカワゴンドウの軌跡のモニタリング(2007年1月31日)

6.ガンジスカワイルカおよびカワゴンドウの今後の観測活動

 鯨類観測工学チームは、最先端の音響観測技術を導入して、世界で初めてガンジスカワイルカの高周波数帯のクリック音の音響観測を実施しました。2006年の小型歯クジラ類用自動音響観測装置を用いた観測では、セミリアルタイムでの位置・深度の特定をおこなうことに成功しており、ガンジスカワイルカのビームパターンの解明が進んでいます。2007年の2MHz用ハイドロフォンを用いた録音データの解析は始まったばかりですが、今後さらにその音響特性の解明を進めて、ガンジスカワイルカに適した音響性能を持つ音響観測装置を開発して、それをガンジスカワイルカの棲息するガンジス川の環境に適したロバストでコンパクトかつ精度の高いものへと進化させることで、今後のガンジス川でのガンジスカワイルカの探索・保護活動を進めていくことが期待されています。
 次に、チリカ湖に棲息するカワゴンドウの持続的な観測のために、リアルタイム音響観測基地を建設し、観測を開始しました。観測は始まったばかりであり、季節による湖の環境変化など、今後持続的なモニタリングを続けていくためには、検討しなければならないことはたくさんありますが、これまでの成果をもとにして、装置での応用がより容易なようにコンパクト化やロバスト性などを向上させるとともに、恒久的な観測基地の建設を目指して、インド側と連携しながら研究を進めていきたいと考えています。

  ガンジスカワイルカとカワゴンドウの予定される今後の観測計画は以下のようになります。
2007年度:ガンジスカワイルカ
・流れの速いガンジス川の現場での観測に適した音響観測装置の開発およびガンジス川での観測
2007年度:カワゴンドウ
・現在の浅海域リアルタイム音響観測システムの改良およびチリカ湖での再設置
・ コンパクトでロバストかつ高精度な浅海域リアルタイム音響観測システムの開発および湖への設置、観測

 なお、本研究は文部科学省、科学技術振興機構および日本学術振興会による研究費補助を受けておこなわれています。

7.本件についての問い合わせ先

連絡先: 東京大学生産技術研究所海中工学研究センター
センター長、教授 浦  環
〒153-8505東京都目黒区駒場4−6−1
電  話:03−5452−6487
ファクス:03−5452−6488
E-mail:ura@iis.u-tokyo.ac.jp
ホームページ:http://underwater.iis.u-tokyo.ac.jp


注1)自律型海中ロボット:
エネルギを内蔵し、センサ情報を基にして搭載されたプログラムで自動的に潜航する無索無人潜水機。AUV(Autonomous Underwater Vehicle)と呼ばれます。無人潜水機は、通信と電力補給のためのケーブルで母船と繋いで遠隔操縦をする有索無人潜水機ROV(Remotely Operated Vehicle)が現在は主流ですが、昨今は、索のないAUVの利用が進むものと考えられます。深海用のROVはケーブルを取り扱う装置が大きなものとなり、船上施設や作業が簡単ではありません。

注2)小型歯クジラ類用自動音響観測装置:
ガンジスカワイルカなどカワイルカの観測は海外でしかできないので、カワイルカ類と同程度の高周波のクリックを持つ小型歯クジラ類全般の観測に適用できる自動観測装置を開発して、日本でハンドウイルカやスナメリなど小型歯クジラ類の観測をおこない、装置の検証をおこないました。  装置は5つのハイドロフォンから成る鳥かご状のアレイから構成されます。水面から降ろして、500kHzのサンプリング周期で水中音を録音して、SBLの手法で音源位置を解析することができます。距離100mにおいて隣り合う全長約1.5mの個体を識別できる位置精度を持っています。垂直展開を前提として設計していますが、浅水域では水平方向にも展開できます。

注3)簡易型音響データロガー:
独立行政法人水産総合研究センターが、マリンマイクロテクノロジ社、リトルレオナルド社と共同開発した小型で長期間自動運転可能な超音波パルス記録装置のことです。イルカの発するソナー音を受信することで、装置から約300m以内のイルカの存在と方位を記録します。本プロジェクトでは、設置型による長期定点観測と曳航型による広域観測の両方を試みました。

注4)ワシントン条約の付属書I:
ワシントン条約は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際的取引に関する条約のことです。絶滅のおそれのある動植物の野生種を希少性に応じて条約の付属書I、IIおよびIIIの3ランクに分類しており、付属書Iにランクアップされることは希少性がもっとも高いことを意味します。


連絡先
東京大学生産技術研究所 海中工学研究センター
東京都目黒区駒場 4-6-1
浦   環
E-mail:ura@iis.u-tokyo.ac.jp
電話:03-5452-6487