R-oneロボット


R-one Robot

 R-one計画のミッションを達成するためには、ロボットはケーブルの拘束から 逃れて、長時間自由に泳ぎ回れる潜水能力を持たなければならない。従って、 衝突回避や位置標定などの高い自律機能と高密度の動力源が不可欠である。

 このような要求に対して、我々は従来の電池に代わる水中動力源として、ディー ゼル機関をベースとしたAIP(Air Independent System)であるCCDEを採 用し、またニューラルネット等の人工知能(AI:Artificial Intelligence)技術 を応用した、高度な航法・制御システムを研究開発中である。

 このため、第1期のR-oneロボットは、これらCCDEや高い自律機能技術を 確立するためのテストベットとして位置づけている。

1. 構造・配置

 

一般配置図

 第1期に製作するR-oneロボットはペイロード部、制御機器・動力装置部、推 進装置部に分けられる。動力源および制御装置を収納する主耐圧容器は、ロボッ トの浮力の大半を担っている。艇体前部および後部はアルミ合金のフレーム構 造で、各種センサー類・観測機器・推進装置などが取り付けられている。艇体 形状は、流体抵抗低減のために、これら各部をFRP製のフェアリングで被い、 いわゆる魚雷型としている。

2. 主耐圧容器

 艇体構造の中心である主耐圧容器は内径930mm、全長約5mmのアルミ合金 (A5083)製で、両端は半楕円形鏡板となっている。容器は内部の機器に対応し てフランジ結合部で6個に分割でき、動力源や制御機器のメンテナンス作業が 容易に行える構造となっている。

 なお、CCDEの燃料や液体酸素の補給および搭載コンピュータのデータ転 送などの母船上での通常の処理作業は、容器の分割はせず、胴や鏡板に設けた 小径のアクセスホールやコネクターで行う。主耐圧容器は、1994年度末に完成 した。

3. 推進装置


スラスター

 推進装置は、艇尾の主スラスターとの艇の前部および後部に各々1個づつ設 けたダクト式垂直スラスターである。これらスラスターのモーターは、小型R OV(三井RTVシリーズの水中TVカメラロボット)のモーターをベースに、 R-one用に小型高出力DCブラシレスギアードモーターを開発中である。モーター およびその制御器は耐圧容器に収納されており、マグネットカップリングを介 して、プロペラを駆動する。回転制御は、PWM(Pulse Width Modulation)方式 を採用している。主スラスターのプロペラはNACA66シリーズ翼型の4枚羽根で ある。

4. 操舵装置

 ロボットの動きは、艇体後部に取り付けた各々2組の方向舵、水平舵で制御 する。各舵の翼面積は方向安定性および静的トリム角を得るため、各々0,35m2 (内、可動翼の面積30%)である。可動翼は各々DCブラシレスモーターによ り高減速比のギアを介して独立に制御される。このアクチュエータモーターは、 内部フィードバック制御用の角度センサーを持ち、基本構造はスラスターと同 じで、120VDC,200W出力である。

水平舵の効きが良くない低速域では、ロボットの姿勢制御は垂直スラスターも併用する。

5. 航法装置

 自律航行の基本となる位置標定には、慣性航法装置(INS:Inertia Navigation System)を使用し、対水および対地速度のフィードバックを行うドッ プラソーナーとの組み合わせにより精度向上を図る。INSはリングレーザージャ イロを搭載した地上車専用のストラップダウン型を採用し、現在R-one用に改造 設計中である。

ドップラーソーナーはR-one用に新たに開発したもので、現在、水中性能確認試 験を行っている。

 障害物回避は、ロボット前部に取り付けた前方探査ソーナーと高度ソーナー からの情報をもとに、メインコンピュータが制御する。ソーナーは、現在水中 性能確認試験中である。

 R-oneロボットは自律航行が前提であるが、母船およびロボットの相互位置情 報を得るため、SSBL(Super Short Baseline)音響測位装置も装備する。この装 置は双方向の音響等宇新機能も兼ね備えており、例えば緊急浮上指令を母船か ら送るなどの、ロボットの自律機能より一段上の管理制御を行うことができる。

6. 制御装置

 制御系のメインコンピュータは、VxworksリアルタイムOSのもとで稼働する シングルハイトVMEバスのPEP-9000(VM40モジュール,CPU:68040,25MHz)システ ムである。


センサとアクチュエーター

 メインコンピュータは、航法機器や各種センサーからのデータを収集記録す るとともに、衝突回避判定・観測機器制御・状態監視等を行いながら、ミッショ ンプランに基づいてロボットの種々の行動を調整・制御する。

 R-oneロボットの自律制御ロボットやアルゴリズム等を含むソフトウェアは、 現在研究開発中である5)6)。ロボットが海上面にいる場合は、母船およびロボッ トに搭載されたコンピュータ間のモデム無線通信リンクを介して、母船上のオ ペレータが直接操縦する。

7. 動力装置

 UUSの動力源の選択基準は、

  1. 重量当たりのエネルギー密度
  2. 体積当たりのエネルギー密度
  3. 信頼性
  4. 製造コスト
  5. ランニングコスト
  6. 維持・管理
などが上げられる7)。残念ながら、現状ではこれらの要求を全て満足する水中 動力源はなく、UUSのミッション、稼働条件に応じて、どの条件にウエイト を置くかによって選択の結果が異なる。

 R-oneロボットでは、エネルギー密度、信頼性の高さ、サンニングコストの安 さから、CCDEを動力源に採用している。CCDEや外燃機関をベースとし たAIPは、周辺の固定装置が大きいために短時間の航行システムへの適用は、 重量・容積的に困難である。


いろいろな電池における性能の比較

 しかし、24時間を越えて運転される場合は、二次電池を凌ぐ性能のものとな る。


CCDE内部の物質の流れ

 CCDEには種々の方式があるが、24時間という稼働時間とR-oneの最終目標 深度を考慮すると、水酸化カリウム(KOH) 水溶液を炭酸ガス吸収剤とし、稼働 深度の影響を受けない非再生方式8)が良いと結論された。

 非再生方式CCDEの基本性能(例えば、自動発停、負荷変動への対処、酸 素供給制御性能等)は16kwのテストプランにより1991年度に確認済みで、この 結果をもとに、R-oneロボットに搭載するシステムを製作している。

 CTDO観測や写真撮影等の省電力消費モードでの調査観測航行の場合、ロ ボットは2ktで連続約25時間、最大速度の3,6ktでは約20時間の航行が可能であ る。



Last modified: Tue Oct 8 21:08:20 1996