研究計画


    1) 自律型水中ロボット研究開発

    東大生研/東京海洋大

     アジア各国の事情に応じた多様な自律型水中ロボット(AUV)を研究開発することにより、水中観測プラットフォームの多様性を向上させ、これまでにはできなかったような観測をおこなうことで、さらに新しいロボット機能を開発させていく。
     例えば、津波や地震などの災害時における港湾区域、海洋構造物周辺における環境観測システムについては、そのための自律型水中ロボットは可搬型の簡易システムにする必要がある。また、水上船舶を利用した効率のよい展開が必要である。このようなAUVによる全自動観測システムの企画をおこない、これを国際会議やワークショップを通じてアジア地域に発信していく。



    2) 海底ケーブルを利用した観測システム構築の推進

    東大生研/海洋機構

     電送容量の増大と施工技術の進歩により、光ファイバケーブルを利用した海底観測網の構築が1990年代に世界的に始まったが、普及は遅々として進まない。新たに海底ケーブルを敷設し、地震計やAUVなどの海底ステーションとして利用するようなグローバルな観測網を構築していくことが、今後の地球観測には必要である。広範囲な海底観測システムを構築するために、関心の高いアジア域の国々と連携して国際会議を開催し、技術情報の交換と世界的なネットワーク網の規格化を策定することで、世界に向けた発信をおこなう。また、固定式の海底ケーブル網に可動な自律型海中ロボットを付加させることにより、より機動性のある観測システムができるので、この二つのシステムを連携させた観測システムを提案していく。



    3) 湖沼環境の広域観測システム構築の推進

    東大生研/琵琶湖研

     湖沼に富栄養価あるいは貧酸素化が生じ水質が悪化することは、それを飲料水として利用している地域住民にとっては死活問題である。窒素などの栄養塩濃度、酸素やクロロフィルなどの環境指標を常時観測し、その増減の因果関係を個々の湖沼において理解することが、21世紀の湖沼学に要求される。自律型水中ロボット「淡探」は、2000年より定期的に琵琶湖の観測活動を続け、湖底からの冷水の湧出、プランクトンの三次元的な分布などに画期的な成果を挙げている。世界で唯一の湖沼観測ロボットとその運航成果をもとに、アジア圏の湖沼に適した湖沼環境の広域観測システムを提案し、アジア湖沼に関する観測システムのワークショップを開催するなど積極的な活動を推進していく。



    4) 水中ロボットや音響装置による水棲生物観測システム開発の推進

    東大生研/東大海洋研/水工研/OWA

     AUVやハイドロフォンアレー技術そして吸着式データーロガーなどを利用して水棲生物を観測する各種システムを研究開発し、マッコウクジラやカワイルカ類など、これまでほとんど観測されていない水棲生物の水中行動の計測をおこない、これをもとにして、水棲ほ乳類の観測システムを構築して観測を進めることで、より新しいシステムを提案していく。また観測した知識のデータベース構築の研究を推進する。
     国際「バイオソナー研究の最先端ワークショップ」を開催して、情報交換をおこない、技術提案をおこなっていく。また、インド工科大学デリー校と共同して絶滅が危惧されるガンジスカワイルカ(※参考記事)の観測をおこない、開発されたシステムの普及と観測の普遍化に努める。ガンジスカワイルカの観測成果をもとに、アジア域のカワイルカ類の観測活動を推進する。